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メタバースの可能性を考えてみた

ザッカーバーグ氏のメタバース

 昨今様々なメディアでメタバースという言葉が聞かれるようになりました。そのきっかけはMeta社(当時Facebook社)によるこのリリースではないでしょうか。

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 このリリースでMeta社はメタバースをソーシャルテクノロジーの次なる進化と位置づけ、Presence Platformと次世代のクリエイターを育成するための没入型学習に1億5,000万米ドルの投資を宣言しています。メタバースとは何なのか?仮想空間とは何が違うのか?その答えザッカーバーグ氏自身が創業者からの手紙で次のように語っています。

The next platform will be even more immersive — an embodied internet where you’re in the experience, not just looking at it. We call this the metaverse, and it will touch every product we build.

つまり、仮想空間の中でも特に没入感と体感に特化したものがメタバースだと言うのです。前述のMera社のリリースを踏まえるとメタバースは次世代のSNSだと言えるのではないでしょうか。ところで仮想空間を利用したSNSは今に始まったことではありません。セカンドライフ[注:1]をはじめかれこれ15年以上前から様々なサービスが存在しています。なぜMeta社はメタバース事業をこのタイミングでビジネスの中核に置いたのでしょうか。


 その答えはハードウェアとネットワークの進化を追う事で明らかになります。一例としてコンシューマー向けPCのスペックの進化を見てみましょう。15年前のPC[注:2]といえばようやく2コアのCPUが登場し出した頃です。メモリも1GB以下のものが多くネットワークも100Mbpsが最先端でした。それが今ではマルチコアのCPUは当然として、エントリーモデルのPC[注:3]でさえ数GBのメモリを標準で搭載しています。ネットワークもギガビットのLANが当たり前の時代になりました。さらにスマートフォンの登場により15年前のPCよりも高性能で携帯性に優れた安価なデバイスが全人類の約半数[注:4]の手に渡ることとなりました。また仮想空間を構築する側のハードウェアとネットワークに目を向けると、近年クラウド事業者[注:5]やハイパーコンバージドインフラ[注:6]により仮想化技術のハードルが下がったことで、可用性が高くスケールアップが容易なサービスを短い期間で構築できるようになりました。


 このようにハードウェアとネットワークが進化しスマートフォンが人々の手に行き渡ったことで、多くの人々がより高度な仮想空間に容易にアクセスできるようになりました。そのような背景からMeta社はメタバース事業の勝機を見出したのではないでしょうか。


メタバースいろいろ

 さて没入感と体感に特化した仮想空間をMeta社のメタバースとするならば、クラウドと高速回線を利用した次世代仮想空間を広義のメタバースと言えるのではないでしょうか。広義のメタバースについて業界や企業の取り組みを調べてみると、ゲーム業界を皮切りに産業界にもメタバースが浸透しつつあるのが見て取れます。中でもインダストリアルメタバース[注:7]と呼ばれる取り組みは既に実運用が開始されています。このようにメタバースの定義を広げてみると既に黎明期を終え流行しつつあるように思えます。


メタバースを取り巻く環境

 メタバースへの期待感はそれを取り巻く環境からも見て取れます。まずはAWSが公開しているインダストリアルメタバース向けの構築サービスAWS IoT TwinMaker[注:8]です。仮想空間上にデジタルツインを構築することができます。またNTTが推進しているIWON構想[注:9]もインフラ面からメタバースを後押ししています。さらにGartnerもニュースリリース[注:10]にてメタバースの可能性について言及しています。


メタバースフレームワーク

 最後にメタバースを構築するためのフレームワークについて調べてみました。メタバースへの取り組みが進んでいると思われるゲーム業界の統計[注:11]を見ると、現時点ではまだUnityが主流と言えそうです。とはいえここ数年でUnreal Engineが急速に勢いを増してきています。Meta社の求人情報を見てもUnityとUnreal Engineが併記されているケース[注:12]が見られます。当面はこれら2つのフレームワークが人気を二分するのではないでしょうか。